リアル・ブラッド

 この作品は、1995年に草案し、翌年漫画化、週刊少年誌の編集に連載しようと言われた作品をさらに掘り下げ4部構成にしたものです。

  

CAST

 古賀 武(こが・たけし)・・・・・・古賀グループの次男  古賀 裕也(こが・ゆうや)・・・・・武の兄  古賀 香奈(こが・かな)・・・・・・裕也の妻  川中 留奈(かわなか・るな)・・・・大学でモナリザの称号を持つ衆議院議員川中安治の一人娘  浅見 研一(あさみ・けんいち)・・・安治の秘書  小泉 薫(こいずみ・かおる)・・・・筑波のバイオハザード主任研究員  土門 彰(どもん・あきら)・・・・・警視庁捜査第1課課長補佐  草薙 晴彦(くさなぎ・はるひこ)・・表の顔は警視庁共助科所属、裏の顔は国家機関の所有する忍者。土門の後輩。  麻生 圭(あそう・けい)・・・・・「緋熊」の宗主。  木曽 健児(きそ・けんじ) ・・・・「天水会」主峰。  Christian (Alba Vincenzo)・・・・孤高の吸血鬼  Fortuna Baldassare ・・・・・・「ディアスポラ」の一人  Auriga Netro ・・・・・・・・・・霊能力者 古賀武の魂とコンタクトする。  Michael Berezovskii・・・・・・・ロシア科学アカデミーの研究員    それぞれの主人公は、  第1部  川中留奈    第2部  フォルトゥナ(Fortuna)  第3部 クリスチャン(Christian)  第4部 キアラ(Chiara)  

第1部のあらすじ

21世紀初頭、静岡県の高速道路で一体の焼死体が発見された。  手足を縛られた痕跡と、死に至るまでもがき苦しんだと思われる広範囲の焼け跡から、該者は生きたまま拘束され火を点けられたと推測される。  該者の身元は、オンラインゲームやポータブルゲームソフト、ゲームパークなど関東でもTOPクラスのアミューズメント事業を展開する古賀グループの社長の実弟、古賀 武、享年22歳、大学4年であった。  警察は、事件を被害者の身辺と兄のビジネス絡みの2点から捜査してゆく中で、被害者の兄で、古賀グループの代表取締役である古賀裕也の護衛と身辺警護を警視庁の敏腕刑事土門彰に命じた。  土門彰は古賀裕也とは、幼なじみの仲で何でも語り合える間柄だった。  近親者を捜査に加えることはご法度の警察で、自分に裕也の護衛を命じた真意は何か?と疑念を抱きつつも護衛を続ける土門の下に、事件の手がかりは思わぬ広がりを見せてゆく。  古賀武の身辺から、謎の失踪者が出ていたのだ。  表立って出てこない捜査内容に痺れを切らした土門は、自ら真相に近づくべく、捜査共助課へと赴く。  学生時代の後輩、草薙晴彦に詰め寄る土門だったが、草薙が伝えるべくもなく、土門はその失踪者と事件のつながりを確信した。  川中 留奈、時の内閣総理大臣を失脚に追い込んだ無所属の衆議院議員川中安治の娘である。  古賀武の殺害からわずかに日を置いて失踪したこの川中留奈は、古賀武とは大学も違うものの因縁あるうわさが飛んでいたのだ。  関東の学生仲間で有名になっていた伝説の美女学生『モナリザ』  そのモナリザを巡るうわさの中で、古賀武は最初のモナリザ陥落者として名を馳せていたのである。  しかも、うわさでは、古賀武はモナリザを強引に陥落したと言う。  そのモナリザと言うのが、川中留奈であった。  スキャンダルを嫌う政治家の娘とあってか、うわさは長くは持たなかった。  背後でやくざが動いたと言う話も滑り出し、捜査の照準が、古賀武と川中留奈に定まりかけた頃、土門彰は捜査第一課課長に直々に呼び出しを受ける。  そして、その課長の口から出た言葉に思わず硬直した。  どうやら古賀武殺害の後ろ手引きをしていた組織が断定出来たというのであるが、その組織は日本の組織ではないらしいと言うのである。  捜査第一課の古賀武殺害事件における捜査は難航を来すものだった。  物証や目撃証言の曖昧さに翻弄されながらも、土門達の弾き出した川中留奈失踪事件との関連が糸口を掴んだのである。  川中留奈失踪事件については、警視庁の他に、東京地検も捜査に乗り出していた。  お互いの情報収集の結果、捜査の先に行きついたのが、警視庁公安部外事一課の潜入捜査中の地下組織であったと言うのである。  公安部外事一課と言えば、アジア以外の外国人の諜報活動防止を手がける課である。  土門はまったくの予想外の方向からの捜査結果に戸惑いを隠せずにいた。  その頃、古賀裕也の妻、古賀香奈は、自らの人脈を使い事件の真相を追っていた。  古賀香奈には、関東広域で力を持つ暴力団組織の元締の愛娘と言う夫にも知らせていないもうひとつの顔があった。  その人脈を使い、香奈は衝撃の事実に突き当たる。  川中留奈がエイズの陽性であると言うのだ。  その川中留奈のカルテを隠蔽した者が居ると言うのであった。  香奈は、関東広域を牛耳る裏の人脈に寄り頼み、川中留奈のカルテを隠蔽した小泉薫と言う医学者に接触する。  その小泉薫から香奈は、武の殺害に直接加担した謎の組織の存在を知らされるのであった。  土門たちの捜査が、公安の領域に踏み込んで間もなく、事件は複雑さの中にありながらもひとつの回答へと土門たちを導き始めていた。  公安が潜入までして捜査をしている地下組織『緋熊』は、表向きは、宗教めいたカルト集団『大和会』と呼ばれていた。  平成の時代の中で、昭和のいのちを受け継いだ男たちが、戦後の”日本"に憂いを覚え、築いた団体である。  そもそも大和会とは、土建会社の名前であった。  若くして世間の常識から外れる若者たちを救い、更生させ社会に貢献することこそ、大和の心と、会の名をつけた。  その心に共鳴する多くの支援と人材に恵まれ、2000年頃から一気に急成長を遂げる。  その成長の傍らで富裕層における民間救済の非営利団体として発足したNPOの団体がその前身として、大和会と名乗っていたのだが、土建会社から独立するにつれ、謎めいた行動が目立つようになった。  そんな中で、公安が追っていた中東のテロ組織との癒着疑惑による潜入捜査が開始される。  その潜入捜査中に起こったのが、古賀武殺害事件である。  その古賀武殺害事件と公安の捜査との接点に深く入り込もうとした矢先に、土門・滝田・草薙が、更迭される。  そして、土門たちの目の前に現れたのは、公安だけではなく、CIA(アメリカ中央情報局)とSVR(ロシア対外情報庁)の職員たちであった。  そして、事件はさらに大きな展開を見せる。  公安が追っていた国際テロ組織の実態はすでに崩壊し、新たな組織アル・ラ・トゥーファン(神の洪水)と密かに名乗り、声明も未だ出さぬまま地下で行動していたのである。  そのアル・ラ・トゥーファンの指導者は、元KGBの諜報部員であったと言う。  完全に、一殺人事件の領域を逸脱した問題を目の前にしながらも、公安だけではなく、CIA(アメリカ中央情報局)とSVR(ロシア対外情報庁)の職員たちは、土門たちの協力を要請する。  その先で、土門は古賀裕也の妻、香奈の身の危険を感じ、古賀邸へと急ぐ。  土門の後輩で敏腕を誇る草薙は、課も役もまったく違いながらも、更迭される先で更なるアル・ラ・トゥーファンの目的を知らされる。  それは、今世紀最初にして最大のテロ計画  世界を根底から覆(くつがえ)す平和への警笛と彼ら(アル・ラ・トゥーファン)が呼ぶものであった。  核による、エルサレム崩落計画である。  

近日連載

inserted by FC2 system